「今年はブナ大豊作。来年のクマの出没はどうなる?」

更新日:4 日前
株式会社BeST鳥獣対策事務所の梅村です。本日は、クマの出没を考える上で重要なブナの豊凶について書いてみたいと思います。
クマにとって重要な秋の餌資源「ブナの実」
ブナの実は栄養価が高く、冬眠に向けてたくさん食べ、体に脂肪を蓄える必要があるクマにとって、非常に重要な食べ物です。特に、東北地方や新潟県では、ブナの実が秋のクマにとって重要な餌資源となっています。ちなみに、クマが利用する重要な餌資源は、地域によっても異なります。私自身、なじみの深い北関東では、ミズナラなどのドングリが、秋のクマにとって非常に重要な餌資源となっています。
ブナの豊凶は、クマの出没にどう影響する?
ブナの実りには「豊凶」があり、実がたくさん実る年もあれば、ほとんど実らない年もあります。
そして、このブナの豊凶は、秋のクマの行動や人里への出没を考えるうえで、非常に重要なポイントになります。ブナがたくさん実る年には、山の中で十分な餌を確保できるため、人里まで餌を探しに下りてくる必要性が低くなると考えられています。一方で、ブナの実りが悪い年には、山の中だけでは十分な餌を確保できず、餌を求めて広い範囲を動き回るようになります。その結果、人里にクマが出没する機会が大きく増加します。
ブナの凶作だけでは説明できない「近年のクマ問題」
ただし、ブナの凶作だけで、近年のクマの大量出没を説明することはできません。なぜなら、ブナが凶作となる年は、これまでもありましたが、必ずしも現在のような規模でクマが人里に出没していたわけではないからです。
では、なぜ近年は、これほどまでにクマの出没が問題となっているのでしょうか。
その背景には、クマの分布域の拡大や個体数の増加があると考えられます。
つまり、同じように山の中の餌が少ない年であっても、そもそも山に生息するクマの数が増え、分布域も広がっていれば、人里に出てくるクマの数も増えるのです。
ブナの豊凶は、クマの出没を大きく左右する重要な要因です。
しかし、それだけでは現在のクマ問題を説明することはできません。
「クマがどれだけいるのか」
「その年の餌の状況はどうなのか」
この両方を見ることが、近年のクマの出没を考えるうえで重要なのだと思います。
今年の新潟県は「ブナ大豊作」
では、今年のブナの実りはどうだったのでしょうか?
今年の新潟県におけるブナの実りは、なんと「大豊作」といってよいレベルでした。

新潟県が公表した調査結果を見ても、上越・中越・魚沼で「豊作」、下越で「並作」となっています。
東北地方のブナも軒並み今年は結実が良いようです。今年は、クマにとって山の中で餌を確保しやすい秋になっているといえるでしょう。実際、今年のクマの出没は、8月以降については今のところ昨年と比べて物凄く落ち着いています。
大豊作の翌年、来年のクマの出没はどうなる?
では、来年はどうなるのでしょうか。
ブナは毎年同じように実をつけるわけではなく、特に豊作の翌年には、実りが極端に悪くなる傾向があります。そのため、これだけ実りが良かった今年の翌年に、ブナがどの程度実をつけるのかは、来年のクマの出没を考えるうえで非常に重要だと思います。
2025年には、新潟県で過去最多となるクマの出没が確認されました。一方で、過去最多の捕獲頭数も記録しています。来年は、2025年を超えるような大量出没となるのか、それとも、思ったほど出没は増えないのか。長年、クマの出没対応に関わってきた私としても、今からとても気になるところです。
これ以上、クマの出没が増えると、地域の安全を担保することが難しくなってしまいます。人とクマの共存を考えるうえで重要なのは、クマの地域的な絶滅リスクだけを見るのでも、地域の安全だけを見るのでもなく、その双方のリスクを考慮しながら、地域として「共存可能なクマの分布や生息数」を考えていくことだと思います。
今から来年のブナの実りとクマの出没に注目していきたいと思います。


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